- 特集
エネルギーの未来を創る トリシマのポンプ技術
AI時代の電力需要拡大と、グローバルな脱炭素化への挑戦
1.世界共通の課題 : 電力需要増と脱炭素
いま、世界はかつてないほどの電力需要の拡大に直面しています。その最大の牽引役は、AI(人工知能)の急速な普及と、それを支えるデータセンターの爆発的な増加です。特 にAI開発をリードするアメリカには、既 に5,500を超えるデータセンターが稼働しており、さらに数千の施設が建設・計画されています。こうした背景から、アメリカの電力需要は2030年までに25%、2050年までに78%増加するという予測もあります。
一方、カーボンニュートラルの実現に向け、世 界 各地で太陽光や風力などの再生可能エネルギーの導入が進んでいます。しかし、これらの再エネは天候に左右されるため、常 に安定した供給ができるわけではありません。電力を安定して供給するためには、天候に左右されない安定電源によるバックアップが不可欠です。電力需要の急増に応えつつ、再エネの不安定さを補い、かつ脱炭素化を両立させる。この難題の解決策として、日米両国で高効率な火力発電プラントの刷新と活用が急ピッチで進んでいます。
2.日本の戦略 : 「長期脱炭素電源オークション」が拓く道
日本国内では、原子力発電所の停止や老朽化した火力発電所の廃止により、電 力 の供給余力が減少しています。国はこの課題に対応し、将来の安定供給と脱炭素化を両立させるため、2023年度から「長期脱炭素電源オークション」を開始しました。これは、脱炭素電源への投資に対し、原則20年間にわたり固定費水準の容量収入を得ることができる仕組みです。
この制度の対象は幅広く、新規電源の建設だけでなく、老朽化した設備を最新鋭の低炭素設備へと丸ごと更新する「リプレース」や、既存の火力発電所をアンモニア混焼などができるように作り変える「改修」も含まれています。すでに実施されたオークションでは、最新鋭のLNG専焼火力への刷新案件をはじめとして続々と落札されています。トリシマにおいても、関連するポンプの受注が相次いでいる状況です。
| 落札回 | 事業所名 | 発電所名・号機 | 電源種 |
|---|---|---|---|
| 第1回 | 中国電力 | 柳井発電所新2号機 | LNG専焼火力 |
| 東京瓦斯 | 千葉袖ヶ浦パワーステーション | ||
| 大阪瓦斯 | 姫路天然ガス発電所3号 | ||
| 北海道電力 | 石狩湾新港発電所 2号機 | ||
| 東北電力 | 東新潟火力発電所 6号機 | ||
| 関西電力 | 南港発電所 1/2/3号機 | ||
| JERA | 知多火力発電所 7/8号機 | ||
| 北海道電力 | 苫東厚真発電所 4号機 |
既設火力の改修 |
|
| コベルコパワー神戸 | 神戸発電所1/2号機 | ||
| エクイスバイオエネルギー・ジャパン | 苫東バイオマスパワーステーション | バイオマス | |
| 石狩湾新港バイオマス発電 | 石狩湾新港バイオマス発電所 | ||
| 第2回 | 北海道電力 | 石狩湾新港発電所 3号機 | LNG専焼火力 |
| 四国電力 | 坂出発電所 5号機 | ||
| ゼロワットパワー | ゼロワットパワー市原発電所 | ||
| 四国電力 | 西条発電所 1号機 |
既設火力の改修 |
3.米国市場の加速 : AI需要に応える劇的な供給増
米国市場においても、トリシマは25年以上前から1,000台以上のポンプを納入してきた確かな実績を誇ります。特に近年のAI需要の加速により、米 国では再エネの変動に合わせ、起動・停止が容易な最新鋭のガスコンバインドサイクル(GTCC)発電所の建設が旺盛です。
トリシマではその中枢と言えるボイラ給水ポンプ(BFP)の納入台数が、2022年からの5年間で約50台に迫る勢いで推移しています。2026年には、2023年比で約400%という劇的な増加を見込んでいます。一 方 、要求される仕様も年々厳しくなっており、「高効率」「大流量化」「低締切圧」をすべて満たすことが必要になってきています。
(ポンプ形式:MHG、原動機容量:9MW)
4.発電所の心臓部を支える : トリシマのポンプラインナップ
発電プラントにおいて、ポンプは「一瞬の停止も許されない」極めて重要な役割を担っています。トリシマは、発電プラントに必要なすべての主要ポンプを製造できる、世界でも数少ないメーカであり、システム全体の最適化を実現できます。また創業106年の歴史に裏打ちされた技術力で、年々厳しくなる高度なニーズにも応えています。
コンバインドサイクル発電

5.次世代燃料への挑戦 : 水素とアンモニアの未来へ
脱炭素化の歩みは、現在のLNG火力にとどまりません。2050年のカーボンニュートラル実現に向け、燃料を段階的に水素やアンモニアへとシフトさせる挑戦が始まっています。
アンモニア混焼への挑戦
既存の石炭火力発電を活かすアンモニア混焼において、毒性の強い燃料を安全に扱う「サブマージド型インタンクポンプ」を開発。2025年2月にはアンモニアインタンクポンプ」を開発。2025年2月にはアンモニア実液を用いた運転試験を実施し、ポンプの健全性を確認しました。
水素社会の実現に向けた取り組み
水素社会の実現に向け、トリシマはマイナス253℃の液化水素を扱う「液化水素ポンプ」を開発しました。2025年12月には、世界初となる商用規模の液化水素実証ターミナル向けに受注することができました。
世界初!産業機械に超電導モータ採用運転時の発熱を抑制遠心ポンプとして世界最大の流量・昇圧量を達成
ポンプで世界を動かし、持続可能な未来を創る
電力需要の増大と脱炭素化の加速。この二律背反に見える課題に対し、トリシマは確かな技術力で応えます。日本での確固たる実績と、米国市場での爆発的な成長、そして世界をリードするポンプ技術。
「私たちはポンプを愛し、世界によりよい変化を生みだすために、進化し続けます」という理念のもと、持続的な企業価値の向上と、クリーンで安定したエネルギー社会の実現に邁進します。