サステナビリティ

環境(Environment):
TCFD提言に基づく情報開示(気候変動対応)

「気候変動」は現在の私たちが直面する非常に重要な課題です。トリシマは従来、自社の事業活動における取組みと自社製品・サービスにおける取組みの双方で、環境負荷の低減、気候変動への対策を進めてきました。さらに、中期経営計画「Beyond110」においてもマテリアリティ(重要課題)のひとつとして「脱炭素社会実現に向けたエネルギー課題への取組み」を掲げています。

気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言への対応

TCFDロゴマーク

トリシマは2023年5月に「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」の提言に賛同しました。TCFDでは、企業に対して、「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標・目標」の4項目について、自社への財務的影響のある気候関連情報を開示するよう勧めています。今後も気候変動関連情報開示を充実させ、より一層環境に配慮した事業活動を継続していくことにより、持続可能な社会の実現に向けて貢献し、企業価値のさらなる向上に努めます。

  • ガバナンス
  • 戦略
  • リスク管理
  • 指標と目標

ガバナンスの仕組み

ガバナンスの仕組み図

当社は、ポンプ事業を通じて気候変動問題に対応することは、社会の重要な要請であると同時に新たなビジネスチャンスを作り出す好機であるととらえており、年に一度、サステナビリティを巡る課題の中で重要な課題(マテリアリティ)を取締役会で審議し、執行側から意思決定事項や事業計画の実施状況について報告を受ける体制としています。

執行側における最高協議機関である経営会議は、取締役COO(最高執行責任者)を筆頭に執行役員等で構成され、当社の重要課題である「脱炭素社会実現に向けたエネルギー課題への取組み」「安全・安心な社会の構築」「データ・AIの活用による新しいモノづくりとサービスの構築」に関して各事業部門における環境貢献製品の開発状況や新規市場の開拓状況等について協議を行い、代表取締役CEOが承認した事業計画の実施状況を把握する場として機能しています。

また、同会議では、コーポレート部門の担当執行役員が気候関連の法規制等の開示要件について情報提供を行い、対応事項の選定や優先順位についてコンセンサスを形成しています。環境経営に関する目標・指標・リスク管理については、部署横断的事項であることから、コーポレート部門の担当執行役員の下に設置したサステナビリティ推進チームが検討し、コーポレート部門の担当執行役員を通して経営会議に上程し、審議する仕組みとしています。

なお、環境委員会は、工場でのCO₂排出削減・電力使用量の合理化政策を中心に討議し、環境貢献製品の開発状況の共有も含めてサステナビリティ推進チームに指示を行い、報告を受ける体制としています。

会議体の説明

会議体 主なメンバー 気候変動に関する主な役割 開催頻度
取締役会 取締役(社外取締役含む)
  • マテリアリティの選定に関する審議
  • 事業戦略の実施状況の監督
原則月1回
経営会議 取締役COO(最高執行責任者)、執行役員全員
※CEOはオブザーバーで出席
  • 戦略、主な行動計画、リスク管理施策等重要な審議事項の協議
  • 代表取締役CEOへの提案
週1回程度
環境委員会 生産・開発設計・営業部門の本部長(執行役員)、同部門部長
※CEO、COOはオブザーバーで出席
  • 工場での環境活動実施状況の確認と目標値の共有
    (CO₂排出削減、電力等の省エネ)
  • 環境貢献製品の開発状況の共有
年2回
サステナビリティ
推進チーム
コーポレート部門の本部長(執行役員)、法務・HR・環境分野の部課長
※事案によって財務、事業部門長が出席
  • 関連する法規制や顧客の嗜好動向
  • 外部審査機関の開示要件等の把握
  • 経営会議への報告
月1回程度
(随時開催)

シナリオ分析プロセス

異なるシナリオ下における財務影響および事業インパクトを評価し、また気候関連リスク・機会に対する当社戦略のレジリエンスを評価することを目的として、下記のステップに沿ってシナリオ分析を実施しています。

区分 シナリオの概要 主な参照シナリオ
1.5℃/2℃未満
シナリオ
脱炭素社会の実現へ向けた政策・規制が実施され、世界全体の産業革命前からの気温上昇幅を2℃未満に抑えられるシナリオ。
移行リスクは高いが、物理リスクは4℃シナリオと比較すると低く抑えられる。
  • IPCC RCP2.6、SSP1-2.6
  • IEA NZE 2050
4℃未満
シナリオ
パリ協定における国別目標など、公表済み目標が達成されることを前提としたシナリオ。新たな政策・規制は導入されず、世界のエネルギー起源CO2排出量は継続的に増加する。移行リスクは低いが、物理リスクは高くなる。
  • IPCC RCP8.5、SSP5-8.5
  • IEA WEO 2022 STEPS

シナリオ分析ステップ

シナリオ分析ステップ

気候関連リスク機会に伴う財務影響及び当社の対応

区分 内容 時間軸※1 事業影響 当社の対応/レジリエンス
1.5℃/
2℃未満
4℃
移行
リスク
政策規制 炭素税等のカーボンプライシングの導入に伴うコスト増加 短期~長期
  • 使用電力の削減、太陽光発電の導入、購入電力の再エネ比率向上によるCO₂排出量の削減
  • 将来的には調達先と協働しCO₂排出削減へ取り組む
市場 低炭素・脱炭素製品ニーズ拡大による、既存製品の需要低下 短期~中期
  • 火力発電向け受注の代替としてのバイオマス発電・地熱発電向け受注拡大
評判 気候変動への対応が不十分なことにより、顧客から選別されることに伴う受注機会減少 中期~長期
  • 使用電力の削減、太陽光発電の導入、購入電力の再エネ比率向上によるCO₂排出量の削減
物理
リスク
急性 豪雨や大型台風など異常気象の頻発化・激甚化による生産設備への被害、資材調達や工事の遅延による利益減少 短期~長期
  • 異常気象等に伴う調達リスク対策としてサプライチェーンの複線化を実施
  • 本社ビルのBCP対策、工場建築物の老朽化の修繕・補強による風水害への耐性強化
  • 他社ポンプメーカーと災害時の生産に関する協定を締結
機会 製品及び
サービス
政府方針によるエネルギーミックスの変化に伴う脱炭素・再エネ・省エネ技術の需要増 バイオマス発電、高効率廃棄物焼却施設向けポンプの需要増加 短期~中期
  • バイオマス発電所にボイラ給水ポンプを納入(国内)
  • 地熱発電所に温水ポンプを納入(国内・海外)
  • 世界最高水準の効率を持つエコポンプの市場投入
  • 高効率廃棄物焼却施設向けポンプ開発
アンモニア発電、水素発電向け
ポンプの需要増加
中期~長期
  • 国内初アンモニア20%混焼発電への参画を足掛かりに取組みを推進
  • 新製品開発に向けて産学共同開発、先端技術企業との協業
  • 市場参入に向けて英・豪のサービス会社を買収
市場 水不足による海水淡水化プラント向けポンプの需要増加 中期~長期
  • 今後の需要拡大が期待できる新しいエリアへの営業活動
  • 高効率・高機能化ポンプの開発による差別化
レジリ
エンス
社会インフラのレジリエンス強化に伴う減災技術を組み入れたポンプの需要増加 短期~長期
  • 「二重ラッパカン及び渦対策リング※2」や「耐水モータ一体型ポンプ※3」など独自技術を通して防災・減災へ貢献
  • 気候変動対応ポンプの海外市場への展開

※1 短期:5年未満、中期:5年~10年、長期:10年以上
※2 ゲリラ豪雨等における短時間での排水量増加の対策として、低水位化や排水量の増量化が可能なポンプ
※3 ポンプ場が浸水した時でも稼働可能なポンプ

気候変動問題に対しては、リスク管理委員会が、コーポレート部門に設置したサステナビリティ推進チームの報告に基づき、気候変動問題をめぐる法的規則(例えば炭素税)等のリスクを特定し、コーポレート部門の担当執行役員より経営会議に報告し、経営会議においてリスク評価を行います。

経営会議の議長である取締役COOによりリスクが高いと判断された事項については、関係部門の担当役員が実行計画を策定し自部門で執行するほか、実務面でサステナビリティ推進チームの支援を受けてリスク対策が有効に機能しているかどうかを自己点検し、定期的に経営会議に進捗状況を報告します。

温室効果ガス排出量削減目標

2029年度
グループ全体のScope1,2「実質ゼロ」(Scope3の目標値は検討中)

[削減策の概要]

  • 工場使用電力の削減(鋳造電気炉・コンプレッサー・試験電力)
  • 購入電力の再エネ比率向上
  • 化石燃料使用設備の電化更新

ICP(設備投資に関するICP)

2023年度中の導入に向けて検討中

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