bg

マイナス253℃への挑戦。
大型液化水素ポンプの開発に携われたことは、
開発者として、一生忘れられない経験です。

入社:2013年
出身:工学研究科 機械工学専攻 修了

今の仕事内容を教えてください。

研究開発部で、新製品の開発をしています。ポンプは表からは見えないけれど水と電気のインフラを支える重要な機械で、1年365日24時間休まずに動いています。それだけに消費電力が大きいのも事実で、実は国内消費電力量のうち約3割がポンプによる消費と言われています。だからこそトリシマの研究開発では、いかにこの消費電力を下げるか、つまりポンプの高効率化、省エネ化が使命となります。ポンプの中を、水がスムーズに流れるよう何度もCFD解析を繰り返し、実際の性能試験で予測通りの結果が得られた瞬間は、体が震えるほどの喜びを感じます。

また、トリシマはそんなに規模の大きな会社ではないので、開発といっても基礎研究もやりますし、流体力学はもちろん、機械力学、熱力学、材料力学のすべてが必要になります。開発が終わった後の設計や性能試験、製品化まで、幅広く経験できるのも面白いですね。

入社して成長したこと、身についたスキルなどを教えてください

自分の考えを相手にちゃんと「伝える力」です。大学時代は説明が足りなくても少々つたなくても、教授がすべて汲み取って会話を成立させてくれていました。が、社会に出るとそうはいきません。同じ研究開発部の中であっても、です。研究者って、自分の専門分野にはめっぽう強い一方、人前で話すのは苦手なんていうイメージがあると思いますが、実は私も話すのはそんなに得意じゃありません。でも実際の仕事では、コミュニケーション能力がとても大事。

たとえば、シミュレーションではポンプ効率を2%アップできたとします。でもなぜそうなったのか、違う人がやっても同じ結果を出せるのか、実際にポンプを動かしてもそうなるのか、しっかりとしたロジックが必要です。ましてや他部門の人が相手となると、説明にさらに工夫が必要ですが、仕事は一人でやっているわけではなく、みんなで作り上げていくもの。しっかり分かりやすく説明できるよう、まだまだ修行中です。

先輩や上司との関係は?

良い関係です。とことん頑張らせてもらえ、チャンスを与えてもらっています。私にとって、新製品の開発は、いつでもハードルの高い挑戦です。いくら考えても課題をクリアできなくて、もう白旗を上げたいことも多々あります。でもそのたびに部長に、諦めるな! といって白旗を取り上げられてしまいます(笑)。厳しくもあたたかく見守ってくれ、粘り続けた結果、目標を達成できたときは、本当に諦めなくてよかった、と。部長がいなければできなかったことはたくさんあって、感謝しています。

思い返せば、入社後すぐに製品開発を担当させてもらったこともそうです。当時はまた別の部長でしたが、今になって思うと、よく新人にやらせたな、勇気あるなと思います(笑)。

入社して一番やりがいのあった仕事は?

脱炭素社会の実現に向けた、大型液化水素ポンプの開発です。水素は燃やしてもCO2を出さない次世代エネルギーとして注目されており、会社としても非常に力を入れているプロジェクトなので、「来月から、水素ポンプのチームに入れ」って言われたときは、やった! と思いました。

液化水素を扱うポンプは、小型のものならすでにありますが、大型はまだこの世に存在していませんでした。つまり、どのポンプメーカーにとっても未知の領域。液温が-253℃と極低温であること、粘性が低くて振動を起こしやすいこと、ボイルオフガス*を防ぐために従来のモータが使いにくいことなど、超えなければならないハードルは数多くありました。

みんなで論文を読み漁ったり専門家の知見を借りたりしながら、チーム一丸となって全身全霊で取り組み、ついに迎えた初めての運転試験。2024年3月7日、秋田県のJAXA試験場に関係者が集まり、世界初となるスペックでの液化水素ポンプの運転を開始しました。みんなが固唾をのんで見守る中、徐々に回転速度をあげて目標の5,000回転に達した瞬間、張りつめていた糸が切れて、思わず涙がこぼれました。よかった!!! できた!!! 誰もが同じ気持ちだったと思います。あの瞬間、あの場所に立ち会えたことを、私はきっと一生忘れないと思います。もちろんこれがゴールではなく、あくまでもスタート。水素社会の実現に向けて、さらなる大流量化、高圧化のための開発は今も続いています。

※ボイルオフガス:低温LPガスや低温液体を輸送・貯蔵する場合に、外部からの自然入熱などにより気化するガス

ある日のスケジュール

8:00 勤務開始(メールチェックなど)
8:30~10:00 チーム内での進捗、課題、今日の予定の共有、技術的な議論
10:00~12:00 シミュレーション結果のまとめ、再計算
13:00~16:00 試験準備、工場での準備作業
16:00~16:30 シミュレーション結果のまとめ、再計算
16:30~17:30 日報
17:30 退社

先輩からのメッセージ

卒業するまでは、研究を頑張る、旅行をするなど、なんでもいいので学生時代の時間を大切に過ごしてください。そして、もしご縁があってトリシマで出会えたら、一緒にいろんな挑戦をしましょう!

先輩からのメッセージ

他の先輩インタビューを見る

酉島製作所 採用特設サイト トリシマポンプ
営業(国内)
入社:2013年
出身:法学部 法学研究科 卒業
酉島製作所 採用特設サイト トリシマポンプ
調達
入社:2015年
出身:システム工学部 環境システム学科 卒業
酉島製作所 採用特設サイト トリシマポンプ
プラント工事
入社:2019年
出身:総合理工学研究科 東大阪モノづくり専攻 修了

Copyright © Torishima Pump Mfg. Co., Ltd. All rights reserved.