お客様の声 エコポンプニュース Vol.100ポンプ見直しで省エネ&台数集約による合理化を実現
東京製鐵株式会社 九州工場
カーボンニュートラルCO2削減仕様の見直し省エネ鉄鋼⾼効率化台数⾒直し

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▲東京製鐵株式会社 九州工場

※2025年7月時点の原稿です。

環境負荷低減への挑戦


 鉄スクラップを電気炉で溶解して鉄鋼を製造する「電気炉鉄鋼メーカ」の大手企業、東京製鐵株式会社(以下、東京製鐵)の九州工場を紹介します。
 電気炉の主原料である鉄スクラップは、機械の製造過程や建物解体、自動車の廃車などで発生します。鉄はリサイクルしても品質低下が起こりにくいため、天然資源の枯渇が問題となる現代社会において、鉄スクラップは貴重な資源として注目されています。

 東京製鐵は創業以来、製品の高度化に取り組んできました。H形鋼の分野にでは品質向上と製造サイズの拡大等を実現。現在は年間120万トンを生産し、国内トップシェアを誇ります。
 そんな東京製鐵では、2050年の「あるべき姿」である「脱炭素社会」「循環型社会」を実現するため、長期環境ビジョン「Tokyo Steel EcoVision 2050」を掲げています。このビジョンのもと、環境にやさしい電炉鋼材の普及促進を図り、社会全体のCO2排出削減に大きく貢献されています。

H形鋼

スーパーエコポンプで約55%省エネ


 実際に導入いただいたポンプの一部を紹介します。「LF(炉外精錬炉)給水ポンプ」においては、大きな省エネ効果が得られました。炉外精錬炉は、電気炉で生成された溶鋼の温度や化学成分のバラツキを低減するための設備です。
 本提案では高効率ポンプ採用による効率の向上必要な圧力見直しによる仕様最適化を組み合わせ、省エネを実現しました。それにより、結果として更新前の流量は維持したままモータ容量を55kWから37kWへと抑え、ポンプ効率は54%から82%に向上しました。ポンプ2台の省エネ効果として、年間消費電力量は288,377kWh、年間CO₂排出量は105.3t削減されました。

※2021年度九州電力のCO2換算排出係数 算出元_環境省:0.000365〔t-CO2/kWh)

 提案したポンプは、2023年10月に発売した「スーパーエコポンプ(以下SEP)」です。SEPは、省エネ先進国である欧州のポンプ効率規格において、最高グレードの「MEI≧0.70」をすべての型番で達成しています。また、国内でも2024年度省エネ大賞「電気需要最適化分野」で最高位となる「経済産業大臣賞」を受賞したポンプです。

  ポンプの高効率化によって必要な動力が小さくなれば、モーターの容量も小さくて済みます。その結果、最大需要電力が抑えられ、電気コスト削減にもつながります。加えて、小型・軽量なモーターを使えば、装置の設置スペースをよりコンパクトにすることも可能です。

2台から1台へ!
合理化で省エネと安定操業を実現


 他にも、圧延機の焼きつきを防ぐために高圧水を供給する役割を担う「圧延系高圧給水ポンプ」では、他社製ポンプ2台をトリシマポンプ1台に更新いただきました。
 従来の片吸込みポンプ2台をバルブ制御しながら運転していた仕様を見直し、両吸込渦巻ポンプ1台に置き換える提案をしました。その結果、運転効率が改善され、年間消費電力量は205,127kWh削減となりました。
 エネルギーやコストのムダを抑えた効率的な運転を実現するとともに、今まで予備機がなかった状況が改善され、突発トラブル発生時でも操業を維持できるようになりました。

▲両吸込渦巻ポンプ(圧延系高圧給水ポンプ)
▲生産部 設備課 主任 前田 様

 取材に応じてくださった生産部設備課の前田様は、工場の設備保全を担当されています。設備課の役割について、前田様は「Tokyo Steel EcoVision 2050」の達成に向け、工場の省エネ効果を高めるための適切な設備投資や、機器の故障を未然に防ぐための適切な保全を行うことですと語られました。

また、「トリシマのエコポンプは既設ポンプと比べてポンプ効率が高く、従来よりエネルギー消費を抑えながら十分な運転性能を維持してくれています。また、導入前に提出いただく省エネ提案書は、投資回収の見通しが立てやすく、導入が進めやすいため助かりました。」と評価いただきました。

▲「LF給水ポンプ」提案書内容

 酉島は省エネ効果だけでなく、メンテナンス性の向上という点でも高い評価をいただいております。2018年当時は他社製品が大半を占めていた中、2025年3月現在では計45台のトリシマポンプを導入いただいております。今後も引き続き更新提案を予定しており、前田様は「すべてのポンプを入れ替えるくらいの気持ちで取り組みたい」と意気込みを語られました。

 酉島では、単なる機器更新にとどまらず、設備全体を見直すことで、現場ごとの課題に即した最適なご提案を行っています。ムダを省き、効率的な運転を実現するとともに、故障や突発的な停止によるラインへの影響を最小限に抑えるための設備づくりにも力を入れています。今後も、省エネに向けて、多角的な視点からお客様の問題解決を全力でサポートしてまいります。

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