平成24年度社長方針

社内報「とりしま」より転載しています。
一部、内部的なコメントも含まれていることをご了承ください

「とりしま」第180号/2012.5.12記

『あらたふと青葉若葉の日の光』
~トリシマには強烈な日の光が降り注いでいるのです

4月の下旬からようやく平年並みの気温に戻り、桜前線もスピードを上げてもうすぐ終着駅の釧路に到達しようとしています。
そして、いよいよ新緑の季節を迎えます。先日気象庁が『日本の冬としては、「30年に一度」と定義される異常気象とまでは言えないが、平成18年の豪雪に次ぐ規模の積雪となった』と発表しましたが、冬が厳しいものだったから余計に、今年は若葉の緑が目に眩しく感じるのかもしれません。

今年も新入社員が45人、新しい仲間として加わりました。トリシマの様々な若葉の中でも最も眩しい緑色の新芽です。
トリシマは今年で93歳。人間であればずいぶんな高齢者となりますが、企業は『Going Concern』として永遠に存続すべきものであり、そのためには世の中から常に必要とされていなければなりません。
世の中のニーズに応え続けるべく、我々はつねに成長する必要があります。
彼ら、彼女らは、この成長へのエネルギーとなる『若さ』を、トリシマにもたらしてくれる大事な新しい仲間です。

その45人中9人が、インドネシアから来た若者です。自然界でも、いろいろな種類の緑色が混ざっているからこそ、その新緑は、美しく力強いものとなります。今年の新入社員は、これまで以上にバラエティーに富んだ様々な色の新芽なのです。
彼らのエネルギーを例年以上に感じているのは、私だけではないでしょう。トリシマの未来を担うこれらの若者を、
みんなで厳しくかつ温かく育てていきましょう。若者の成長なくして、トリシマの成長もないのですから。              

トリシマの過去10年間の業績推移

5月10日、2011年度のトリシマグループの活動結果である決算を発表しました。
残念ながら、売上高は、465億円(前期比▲34億円)、経常利益は、29億円(前期比▲8億円)と大幅な減収減益となりました。
受注高こそ396億円(前期比+66億円)と回復基調にあるものの、期初にたてた計画値に対して殆どの結果が大幅な未達であり、
内容としては、上半期の状況同様、その傾向がさらに加速したものとなりました。
つまり、トリシマ香港、トリシマ・サービス・ソリューションズ(TSS)、KRG社など海外を中心とした会社は大きく業績を伸ばしたものの、
トリシマ本体の業績の悪化が足を引っ張り、全体の結果が減収減益となるというパターンです。

今年は、2003年にトリシマ・グローバル・チーム(TGT)活動を始めてから、ちょうど10年目の節目の年に当たります。
この10年、世界No.1のポンプメーカーを目指して走ってきた結果、まだまだ十分とは言えないものの、皆さんの努力のお蔭で、
今のトリシマの業容は大きく変化しました。公共投資が半分以下にまで大幅に減少し、民間設備投資もほとんど伸びない中、
公共事業へ偏重気味であったトリシマの業容は、海外事業に成長のエンジンをおき、官公需・民需とともに三本柱とすることで、
より良い事業のバランスに変化を遂げています。

また、事業領域の面からも、ハイテクポンプ・プロジェクト・サービスの三分野がバランス良く、それぞれ成長してきました。
少し詳しく過去の動きを振り返ると、2003年のTGT活動の開始により、仕事が増加。それに対応するために、第2ステージとして、2005年2月よりTQ活動を始め、生産性の向上を目指しました。

その上で、2008年からは第3ステージとして、モノづくり基盤の再構築に着手、
続く第4ステージでは、エコポンプとサービス事業という新たな市場開拓型の事業を展開しています。
この2つのエンジンを得たトリシマ号は、いよいよもう一段階上の次元に飛び立つはずでしたが、エンストを起こしてしまった。
それが今のトリシマの状況であり、2007年度まで順調だった売上・営業利益の伸びは、2008年以降完全に鈍化し、昨年度の縮小へとつながっています。

昨年度は、円ドルの平均為替レートが79円台と、さらに円高が進みました。
この数年間、100円台、90円台、80円台、そして昨年が70円台と、毎年10円近く円がドルに対して上昇を続けるという、
トリシマにとって厳しい事業環境であるのは確かです。

過去5年間で、同じ1ドルという売上でも、円ベースの受け取りは30%以上縮小、利益部分が完全に吹き飛んでしまうほどの大きな動きではあります。 ここ数年のトリシマの業績の伸び悩みに、この円高が一つの要因として影響しているのは確かではありますが、
これだけが原因なのでしょうか?
企業としてのトリシマの競争力が十分ではなく、実力が不足していることにも原因があるのではないでしょうか?
決して皆さんがサボっていたわけではありません。それどころか、忙しく必死になって業務を行っています。

売上が減少している中では、業務を改善するための仕事に時間を投入し競争力の向上を図ることにより、
力をつける・次への成長の種を育てることこそ、本来あるべき姿です。
しかしながら、今の我々の状況は、通常業務に追われ、付加価値を産む仕事(売上)は、減少するのに、付加価値を産まない仕事(後戻り作業)は、増えていく。ますます時間がなくなり、やっつけ仕事になってしまうから、ミスが重なり、後戻りの仕事が増えて、
さらに忙しくなる……という危険な状態。みんな『これでは駄目だ』とわかっているのに、
なかなか抜け出せない『負のサイクル』に陥っているのです。どうしたらこの『負のサイクル』から脱却できるのでしょうか?

2012年度の方針

2年前に策定した3ケ年経営計画では、今年は売上600億円、営業利益45億円を目指す予定でした。
しかしながら、いまはまず量より質の改善を優先すべき時として、この当初の計画を3年先送りした新たな3ケ年計画に変更しました。2008年頃から第3ステージとして進めてきた『モノづくり基盤の再構築』が十分でない、
極論すれば、モノづくりの本質が、10年前とほとんど変わっていない、これこそトリシマがいま『負のサイクル』に陥っている真の原因です。

仕事が増えれば増えるほど作業が増えて忙しい、海外での部品調達や生産を増やそうにも作業が増えてさらに忙しい、
人海戦術になるから人も疲弊して後戻りの仕事が増大する……。このままでは成長を続けられない。
トリシマが直面するこの現実を直視して、再度『モノづくり基盤の再構築』に取り組み直すことが喫緊の課題なのです。

その中心となるコンセプトが『BOM連携による一気通貫のモノづくり』。営業から受注・設計・調達・製造・出荷、
そしてサービスのプロセスをシームレスで繋ぐことにより、『Q・C・D』を大きく改善するプロセスの導入を、
新しい情報システムの導入と同時に行うものです。『プロセス・イノベーションなくして、トリシマの成長はなし』、
この一年、我々一人ひとりが、どれだけ強く意識して改革に取り組めるかで、トリシマの将来が決まる、
そう言っても過言ではありません。 こう決意して、TIS(トリシマ・イノベーション・システム)の導入に全力を挙げる年にしようではないですか。

厳しい冬を乗り越えるからこそ、新緑が映える。一致団結して厳しい冬を乗り越えることができなければ、我々の未来はありません。どんなに寒く、辛い冬でも終わりがあり、必ず春はやってきます。

“あらたふと青葉若葉の日の光”

これは松尾芭蕉が奥の細道の中で詠んだ句です。新緑の木々や草の匂いが充満し、まさに成長しようとしている、
そんな強烈なエネルギーを感じる句です。水(食糧)、そしてエネルギー不足が顕在化する今、日本だけでなく世界中が、
効率が良く信頼性の高いポンプ、プラント、そしてサービス・ソリューションを渇望しています。仕事に全く不足なし。
世界がトリシマを待っている。今、トリシマという青葉若葉に強烈な日の光が降り注いでいます。
この幸せに感謝して、後は我々がやるのみ、『動く』のみなのです。

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