エコポンプニュース エコポンプニュース Vol.86「エコ」の先へ
~多面的アプローチで省エネレベルをアップ~
CO2削減省エネカーボンニュートラルダウンサイズ(インペラカット含む)インバータお知らせ

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※2021年6月時点の原稿です

なぜ今ポンプde省エネか

2020年10月、日本政府は「2050年までに、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、すなわち2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指す」ことを宣言しました。「排出を全体としてゼロ」とは、二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスの排出量から、森林などによる吸収量を差し引いてゼロを達成することを意味しています。   

この宣言を受け、化石エネルギーからクリーンエネルギーへの転換計画が進み、新規石炭火力発電所の建設が中止になるなど、日本は脱炭素化に向けて大きく動き出しました。 

日本における温室効果ガスの排出量は、全体で約12億トン、二酸化炭素はそのうち9割以上を占めています。これに対し、2021年4月、地球温暖化対策推進本部は、2030年度の温室効果ガス排出量を、2013年度比で46%削減するという高い目標を発表しました。 

業種に限らず、企業は温室効果ガスを排出しない経済活動を迫られています。カーボンニュートラル宣言までは、省エネ目標を掲げている事業所でも、消費電力の削減率のみを目標としている場合が多かったですが、これからは二酸化炭素排出量の削減目標を新たに設定するケースも増えてくると思われます。またインターナルカーボンプライシング(ICP:低炭素投資・対策推進に向け、企業内部で独自に設定、使用する炭素価格)を導入する企業も国内で数が伸びています。

ここで、ポンプがどれだけのエネルギーと二酸化炭素を消費しているか見てみましょう。

日本の総消費電力量のうち、実に約3割がポンプによるものです。温室効果ガス排出係数を用いて計算すると、約1億トンの二酸化炭素を排出していることになります。すなわちポンプで省エネすることができると、消費電力と二酸化炭素を減らし、カーボンニュートラルに貢献することができるのです。

ポンプde省エネの概要

ではポンプで省エネするにはどのような方法があるのか、消費電力を求める計算式から考えてみます。

この式に基づくと、分子にあたる吐出し量と全揚程はできるだけ小さく、分母にあたるポンプ効率とモータ効率はできるだけ大きくすることで消費電力を下げることができます。吐出し量と全揚程をできるだけ小さくするということは、仕様点に対してオーバースペックを避ける設定で運転し無駄を削減する、仕様を最適化させるということです。ポンプ効率やモータ効率は、それぞれの機械ごとに異なりますので、各メーカーのできるだけ高い数値のものを選ぶ必要があります。

仕様を最適化する方法は、インペラカットとインバータ制御の2つが一般的です。インペラカットは、インペラの外径を小さく加工し、仕様点にぴったりなポンプ性能にする方法です。

インバータ制御は、周波数を変化させることでモータの回転速度を変化させ、ポンプ性能を変化させる方法です。朝と夜や季節の温度変化に合わせて吐出し量を増減させる必要がある場合に特に有効です。インペラカットは商用周波数による固定速運転での最適化であることから、水の使用量が変化する設備に対しては必ずしも有効な方法にならない場合があります。高い省エネ効果を達成するには、それぞれの手法の特徴の違いを見極め、ポンプ設備に対して最適な方法を選択する必要があります。

経済産業省資源エネルギー庁が2021年4月に発表した、「2030年エネルギーミックスにおける省エネ対策の見直しに関する経過報告」では、省エネ対策に関する追加的検討がなされ、インバータの導入によるファン・ポンプなどの省エネ化を新たな対策とすると明記されました。これは、流体機械側の効率アップのみならず、インバータ制御による運転の最適化が省エネに効果的な手法であることを裏付けています。ポンプの吐出し量は回転数に比例しますが、軸動力は回転数の3乗に比例するので、インバータ制御は大幅な省エネルギーになります。例えば、回転数を定格の80%にすれば吐出し量は80%になりますが、軸動力は51%に半減します。

運転最適化の応用技術として、台数制御による運用があります。例えば設備規模の大きな空調ポンプの場合、夏期、冬期の最大負荷時の空調負荷を満たすよう選定されている場合が多く、夜間などの低負荷時に過剰な量の冷温水がポンプにより循環されていることがあります。運用計画をポンプ1台単独設置から複数台設置に見直しすることで、台数制御の導入が可能となります。低負荷時に運転ポンプ数を減らせるので、運用での省エネが可能です。台数制御では、インペラカットよりもインバーター制御との相性がよく、上手に運転制御をすることで、更なる省エネを図ることも可能となります。

2021年4月に竣工したトリシマの本社工場内には、エコポンプの省エネ効果体験や、インバータ制御運転が学べる常設のデモ設備をご用意しています(予約制)。ご見学の他、省エネ講習会のご要望も承っております。省エネに興味はありつつも、対策方法を具体的に知りたい、インバータ制御による性能変化を実感し導入効果を相談をしたいなど、ポンプ省エネのご相談事なら何でも、お近くの当社・支社支店までお気軽にお電話ください。

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