エコポンプニュース エコポンプニュース Vol.85ポンプ持込整備・内部塗装で効率アップ
~REDUでできること~
⾼効率化化学メンテナンス(REDU含む)

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※2021年3月現在の原稿です

幅広い製品をグローバルに手がける総合化学メーカーである住友化学株式会社。姉崎海岸に位置する千葉工場では、主に自動車のバンパーや食品用トレイ、家電、医療器具などに使用される合成樹脂や、合成ゴムといった材料を生産されています。プラントは365日24時間稼働し、ポンプは工場内へ絶えず水を供給し続ける役割を担っています。そのうち他社製のポンプ2台をトリシマの工場へ持込み、分解整備と内部塗装(コーティング)を実施しました。他社製のポンプを?と疑問に思われるかもしれませんが、これはREDUと名付けられている、トリシマ独自のサービスメニューです。

REDUとはRe-Engineering and Design-Upの略で、ポンプの老朽化、 磨耗した部品を復元し、さらに最新の技術を用いてアップグレードさせるサービスです。これにより延命化をするだけではなく、性能アップや省エネなどの付加価値を併せて提供します。  今回、千葉工場でREDUを実施した当時、設備の日常保全業務を担当されていた工務部設備チーム 河原木様、現在工場全体の動力エネルギーや機器運転状況を管理されている第一動力用役課 青野様にお話を伺いました。

対象となったのは、口径700mm相当の両吸込型ポンプ2台。高経年化が進み、ポンプ効率の低下が懸念されていました。ポンプ更新となると高額な費用がかかるため、更新よりも安価かつある程度の効率回復が見込めるコーティングを実施することとなったそうです。REDUの取組みがスタートしたばかりの2010年頃、当時のトリシマ営業担当よりREDUをご紹介いたしました。その後検討いただき、コーティングメーカー自体は複数あるものの、JISに基づいたポンプ試験設備で試験できるのはトリシマのみとのことで採用いただき、2018年度に持込整備を行いました。

▲対象となったポンプ1台と、青野様(左)、河原木様(右)

持込整備手順

コーティングとポンプ性能

長年使用しているポンプは、経年劣化によりケーシング内面やインペラ壁面の表面粗さが大きくなり、ポンプ性能が低下している場合があります。そこで、内部をコーティング(塗装)し表面粗さを軽減させることで、ポンプ性能を回復させることができます。

コーティングでは第1層、第2層とあえて色を変えて塗り重ねることで、次回のメンテナンスで分解した際に、どの部分がどれだけコーティングが剝がれているかを確認して内部の状態が把握しやすくなるうえ、補修部の特定が容易になります。

千葉工場のポンプは、コーティングと経年劣化部品交換により、2台ともポンプ効率が数%回復しました。そのうち1台はポンプ性能である全揚程も想定以上に回復したため、当初見込んでいた効果には届かなかったものの、2台合わせた結果で消費電力を低減、省エネを行うことができました。

「ポンプ性能はそのままにポンプ効率だけを回復させるというのは難しいな」

というご感想をいただきました。

「設備側からすると、ケーシングやインペラをコーティングすることで寿命が延びれば、交換部品を何度も手配するよりも安価に抑えられる点がメリットですね」

というコメントもいただきました。

☆ポイント

 

コーティングによりポンプ効率がどれだけ回復するかはポンプごとに異なりますが、全揚程が高く吐出量が少ないポンプ(=比速度*¹が小さい)ほど、損失*²の中でも摩擦損失の割合が高くなるため、コーティングによる効率アップが期待できます。メンテナンス時だけではなく、ポンプを新設する際にも効率アップが期待できるため、機器の高効率化を求めるお客様のご要望にお応えすることができます。

その他REDU事例

住友化学株式会社千葉工場の事例以外にも、据付当時のポンプメーカーで部品を製造していない、対応できないといった場合には、水力部そのものをトリシマで再製作、交換も行っています。そのような場合にも、ただ全く同じ部品を再現するのではなく、ポンプ効率の向上や、使用材質のグレードアップなど、新たな付加価値を併せてご提案します。

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