エコポンプニュース エコポンプニュース Vol.83ボイラ給水ポンプ工場持込整備特集
~定期整備を安心・安全に!ポンプ効率回復で省エネ効果も~
省エネメンテナンス(REDU含む)お知らせIot(TR-COM)

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※2020年7月現在の原稿です

ボイラ給水ポンプとは?

ボイラ給水ポンプは、発電所において非常に重要な役割を担っている多段ポンプです。Boiler Feed Pumpの頭文字をとって、BFPとも呼ばれています(以下BFP)。火力発電所やバイオマス発電所は、ボイラで燃料を燃やし、発生した熱による蒸気で、タービン(羽根車)と、直結する発電機を回転させ発電しています。このときBFPは蒸気を発生させるために、高温高圧の水を絶えずボイラへ送り込んでいます。液温は100℃を超え、全揚程は3,000m以上に及ぶことも。万が一故障してしまったら発電所全体を稼働することができない、発電所の心臓部に相当する機器の1つです。

経済産業省は電力の安定供給のため、定期検査時期をボイラは2年、蒸気タービンは4年と法的に定めています(発電用火力設備に係る安全管理検査制度)。しかしBFPを含む発電所内のポンプには、明確な検査時期が定められていません。トリシマはポンプ専業メーカーとして、高温高圧の水を送るBFPを特に重要視しており、4年に一度の工場持込整備を推奨しています。工場には専門の機械や試験用設備が整っており、安心・安全な性能を提供することができます。さらにポンプ効率回復による省エネ効果といったメリットがあります。

工場持込整備の流れ

ここに注目!

●専用の機械で正確に効率よく整備

 分解後、錆やスケールのついた部品には、ウォーターブラストと呼ばれる装置で、研削材を含んだ高圧水を錆やスケールに当て除去していきます。ウォーターブラスト後の部品は、まるで新品のようにピカピカです!

 組立前にはダイナミックバランス(動的釣合)装置で、シャフトやインペラ等の回転体を回転させた状態でのバランスを測定・調整します。BFPのように回転体が軸方向に長い多段ポンプは、特にアンバランスの影響を受けやすく、もしアンバランスの状態で運転してしまうと異常振動を起こし、焼付きや異音・破損を引き起こします。トラブルを未然に防止するため、組立時にはダイナミックバランスの確認が必須です。

●性能試験

 組立後は、工場内の専用設備に据え付け、性能試験を行います。様々な仕様のBFPに対応できるよう、大容量モーターや変速機を備えており、実際に使用される環境を想定して試験が行われます。試験項目は全揚程や、吐出し量といったポンプの性能から、騒音や温度の測定、水漏れ目視確認など多岐にわたります。JIS規格に基づく基準を満たしたポンプをお返ししますので、現地では安心・安全にご使用いただけます。また工場持込整備の一環として、当社の振動センサ「TR-COM」を取り付け、工場性能試験~現地運転の運転データサンプリングを実施しています。データ取得後にはレポートを提出し、安心してお使いいただけるようポンプのプロがアドバイスします。取付けたセンサはデータサンプリング後も使用可能ですので、振動のトレンド管理をぜひご体験ください。

●省エネ効果

全分解整備で付着スケールを除去し、損耗部品を交換すると、経年劣化したポンプ効率が新品同様まで回復し、省エネ効果を期待できます。工場持込整備であれば、性能試験の結果から、ポンプ性能のビフォーアフターを比較することが可能です。下記の事例では、工場持込整備前後でポンプ効率が3.0%回復したことにより軸動力が低下し、結果として年間消費電力量は約50万kWh、電力料金は500万円近く削減できました。数%の効率差は小さく感じられるかもしれませんが、BFPは原動機容量が大きく運転時間が長いため、僅かな効率回復でも大きな省エネ効果が見込めます。

●整備日数

BFPの予備品として、インペラ以外の回転体(シャフトやメカニカルシール等)を事前に保管しておけば、トリシマ工場到着から約3週間で整備は完了します。さらに、BFPの予備機があれば、定期整備期間の短縮や突発故障に対応できるため、発電所のアベイラビリティー向上に貢献できます。予備機への据え替えに要するのは約3日間。年間の稼働時間が長い発電所や、緊急事態に備えて、予備機を持つと安心です。

お客様の声

お客様からは

「整備前後の性能比較は省エネ効果が分かりやすく、上司に報告しやすかったです」「指定した納期通りにポンプが返ってきたため、工程通り進んで助かりました」

とのご好評の声をいただいています。

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