エコポンプニュース エコポンプニュース Vol.67メカニカルシール特集
読んで納得!メカニカルシールがエコな理由
CO2削減お知らせメカニカルシール

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※2017年4月時点の原稿です

メカニカルシールってなに?

メカニカルシールは、ポンプの軸がケーシングに貫通する軸封部に装着されます。ポンプ軸封部からの漏れや、異物混入を機械的に防ぐ大切な部品のひとつです。もしメカニカルシールがなければ、ポンプ内の液体は大量に漏れてしまいます。代表的なポンプの軸封装置には、メカニカルシールの他にグランドパッキンがあり、グランドパッキンは軸に押し付けて接触させることで漏れを防ぎます。

トリシールの歴史
第二次世界大戦中、アメリカではすでにメカニカルシールがポンプの軸封装置として使用され、軸封部からの漏れ量を1台年間1~3ℓ程度に抑えていました。これに対して、日本ではほとんどのポンプにグランドパッキンが使用され、1台年間10,000ℓ近くも液体が漏れていました。「ガソリン1滴は血の1滴」と言われていた資源の乏しい時代、特に石油を扱うポンプにとっては、深刻な問題であったにも関わらず、日本では軸封部にあまり関心がもたれていませんでした。
 そんな中、トリシマは1949年からメカニカルシールの開発に着手し、実用化に向けての取り組みをはじめました。研究に約3年間を費やし、国産初のポンプ用メカニカルシールが誕生しました。現在では、発電プラント向け(ボイラ給水ポンプ、ボイラ循環ポンプなど)の高温高圧液体を扱うポンプや、下水プラント・化学プラント・海水淡水化プラント向けのスラリーを多く含む液体、腐食性の高い特殊液や海水を扱うポンプのメカニカルシールなど、極めて高い品質と安全性が要求されるメカニカルシールを自社で製造しています。

メカニカルシールの構造

メカニカルシールは軸と一緒に回転する回転環と、本体に固定されている固定環にわかれています。このふたつが密接する部分が摺動面とよばれ、漏れを防いでいます。

摺動面にポンプ内の液体、または外部からの注液で膜を作り、液体による潤滑を行いながら液体の漏れを防いでいます。

この摺動面の隙間が広すぎると多くの液体が漏れてしまい、狭すぎても回転環と固定環の表面が擦れることで摩擦が発生してしまうので、ミクロン単位の隙間維持が必要です。このように、精密機械であるメカニカルシールを正常に機能させるためには確かな技術力が必要です。

エコポンプ標準採用のメカニカルシール

エコポンプが標準採用しているメカニカルシールは様々なメリットがあります。

① コストの削減

グランドパッキンは定期的に取り替えなければならないためランニングコストでみるとメカニカルシールの方が安くなります。

② CO2の削減

メカニカルシールはグランドパッキンと比べて摩擦が少なく、熱の発生を抑えることができるため動力損失が少なく、CO2の削減につながります。

③ メンテナンスフリー

グランドパッキンは定期的に漏れを調整する必要があるため、増し締めとよばれる調整作業を行わなければなりません。
メカニカルシール交換するまで目視の点検のみで使用できます。

④ シールスリーブが不要

エコポンプ標準採用のゴムベローズ式のメカニカルシールは取り付けが簡単で、シャフトを傷つけない構造のため、シールスリーブが不要です。

⑤ 廃液処理が不要

グランドパッキンは毎秒数滴~数十滴漏れるため、廃液処理が定期的に必要です。
メカニカルシールは蒸気レベルでの漏れのみなので、廃液処理の手間がかかりません。

⑥ 安全性

グランドパッキンは漏れた液体によって、ケーシングカバなどポンプ周辺に腐食が発生することがあります。
さらに、冬場の寒い時期では、漏れた液体が凍り、事故につながる危険性もあります。
メカニカルシールは蒸気レベルの漏れ量のため、液体がポンプや周辺に付着することがなく、漏液による腐食などがありません。
また、ポンプ周辺をクリーンで安全な環境に保つことができます。

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