※2015年6月現在の原稿です
トリシマでは、発電や海水淡水化、化学、上・下水道などのポンプとして、創業より95 年間に渡り、日本国内はもとより世界各国に様々なプラントの重要機器となるハイテクポンプを提供しています。
これまでエコポンプニュースでは、小型汎用ポンプでの省エネを主に取り扱ってまいりましたが、もちろん他のポンプでも省エネを図ることができます。今回は、当社の高圧多段タービンポンプMMK とMMLに省エネモデルが発売されたので、紹介いたします。
従来型との比較
当社の高圧多段タービンポンプMMK/MML シリーズは40 年以上の歴史があり12,000 台以上の納入実績を持ちます。ボイラ給水・復水・上水道・工業用水・RO 装置から建築設備まで幅広い用途に対応します。このような歴史を持ったポンプに対し、このたび、最新の設計及びCFD 解析技術を駆使して水力部( インペラ＆ガイドベーン) の開発を実施し、ポンプ効率を当社従来比5～10% アップさせました。水力部の変更のみであるため、外形寸法に変更はなく、ポンプのみの取替が可能です。したがって、配管や基礎工事の必要がありません。
新モデルは、地球環境保護に貢献出来るようとの願いからEnergy-efficiency とEco-friendlyの頭文字「E」をとり、MMK-E/MML-Eと名付けました。
省エネ事例
旧MMK/MML をMMK-E/MML-Eに取り替えた場合の具体例を紹介します。①旧MML40/11では、年間消費電力量は約5万kWh、CO2 排出量は年間約28トンを削減。②旧MML80/6 では、年間消費電力量は約10万kWh、CO2 排出量は年間約54トンを削減。モータ容量は、132kW から一級小さい110kWにできました。
開発者インタビュー
今回この新モデルを紹介するにあたり、MMK-E/MML-E開発のリーダー吉武翔氏にくわしい話を聞きました。
Ｑ．まず、どういったところで使われるポンプですか？
発電所からごみ処理施設、ビル設備、上水道や農業水まで様々な場所で使われています。
用途としては、発電所のボイラ給水ポンプ、脱気器給水ポンプ、ドレンポンプやRO 装置用にも使用されますし、送水管路の長い飲料水や農業用水、工業用水の送水ポンプとしても使用されます。高圧洗浄ポンプや、ビル設備、スキー場のスノーマシン用ポンプとしての実績も多数あります。
仕様範囲としては吐出し量600m3/h、全揚程500m、液温230℃、吸込圧3MPaG、吐出5.4MPaG、回転数3600min-1 までであればどういった用途にも対応できます。用途の広いポンプです。
なぜ開発しようと思ったのですか？
MMK/MML は先ほど紹介したように用途が広く12,000台以上の納入実績があり、ご好評をいただいております。しかしその設計は古いものでもあります。最新設計技術を用いれば、ポンプ効率を向上させることができ、省エネルギーに貢献することでお客様にさらに喜んでいただけるのではないかと考えたからです。
Ｑ．開発のコンセプトは？
できる限り簡単に省エネルギーを実現する！ もう少し詳しく言えば、お客様の既存設備を変更することなく実現できることを念頭に置きました。
その結果、ポンプ構造はそのままに水力部のみの開発でポンプ効率向上を果たすというコンセプトにたどりつきました。
Ｑ．開発時に大変だったことはなんですか？
「ポンプ構造はそのまま」ということで、形状変更の自由度がかなり限定されます。そのなか、いかに高効率を達成するか、さらには既存設備への取替をターゲットにしますから、既存ポンプとほぼ同等のポンプ揚程曲線を実現しなければいけません。この2 点が技術的に苦労した点です。とても苦しみました。
Ｑ．ではどのように効率の向上を？
ポンプ効率の向上と聞けば、真っ先にインペラ設計の改良が頭に浮かびます。しかしながら、我々は固定側( 静止側) の水力部品であるガイドベーン形状にも着目しました。CFD 解析を用いて水がスムーズに流れ無駄なく圧力が回復するような形状を追求しました。また、製造部門と協力してインペラ及びガイドベーン水力部の表面粗さを改善し、摩擦損失の低減を図りました。このように、研究開発部門と製造部門とのコラボレーションにより大幅な効率アップを果たすことができました。
お客様にメッセージを
今回リリースしたMMK-E/MML-E シリーズに関して、私たちは水力部の設計だけでなく、製造から販売まで関わりました。ですから、かなり思い入れの強いです。本当に良い製品であると自信を持っておりますので、ぜひとも導入いただき、省エネルギーに役立ててください。よろしくお願いします。
