お客様の声 エコポンプニュース Vol.95ボイラ給水ポンプの段抜きで省エネを実現
日本製紙株式会社 富士工場 吉永/富士
省エネカーボンニュートラルダウンサイズ(インペラカット含む)製紙メンテナンス(REDU含む)

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※2024年2月時点の原稿です。

 日本製紙株式会社は総合バイオマス企業として多彩な事業を展開するなかで、森林を持続的に育成・管理しながら、環境に優しい資源である木質バイオマスを無駄なく有効に活用・リサイクルしています。祖業である紙事業においては、生産・販売量と品質で国内業界を牽引しています。
 今回は紙事業のなかでも、主に段ボール原紙(外装ライナー)、白板を生産する富士工場(吉永/富士)に訪問させていただきました。こちらでは古紙を原料とした自製脱墨パルプ(DIP)を活用し、板紙を生産する「都市型資源リサイクル工場」として高品質の製品を安定供給しています。また、エネルギーを有効利用するため、自家発電設備が設置されていますが、そこにトリシマ製ボイラ給水ポンプが採用されています。

日本製紙(株)
富士工場(吉永)

段抜き導入

 今回トリシマは、富士工場のさらなる省エネを図るために省エネ提案を行い、吉永・富士それぞれ1台のボイラ給水ポンプに対して工場持込整備による段抜き改造(複数段ある羽根車の1段分を抜き取り、ポンプの仕様を設備の要求仕様点に近づけて最適化する手法)を行いました。

 段抜きするにあたり、実際に想定していた省エネ効果を得られることができるのかという懸念のなか、段抜きにより得られるメリットの大きさをはじめ、リスクヘッジとして仮に想定通りにいかなかった場合でもすぐに元に戻せることが導入への一助となりました。  

また、「トリシマ製ポンプの信頼があってこそ実施に至ることができた」と身に余るお言葉をいただきました。

 ボイラ給水ポンプで省エネをする際には、使用状況から運転点を見直して最適な方法をご提案します。今回は運用データの給水調節弁開度とポンプの運転点の状況から、ポンプをトリシマ本社工場へ持ち帰り、インペラの段抜きにより全揚程すなわち軸動力の低減を図りました。                               
 電流値より算出した消費電力は、富士では約120kW、吉永では約90kWの削減効果が確認できました。また、年間の消費電力が下がることによって電力料金は、両工場共に大幅な削減効果※3を得ることができました。この結果に対して原動部 原動二課にて発電設備全般をご担当されている海原様は、「段抜き実施後の使用電力量の数値が明らかに下がったことから省エネ効果がすぐに実感できた」との評価をいただきました。  

海原様

段抜き実施による省エネ効果

    富士工場(吉永)       富士工場(富士)   
ポンプ名称 10B No.2
ボイラ給水ポンプ 
3B B号機
 ボイラ給水ポンプ  
口径・型式MHG4/10    MHG4/11   
原動機容量1,090kW    1,490kW   
段抜き内容インペラ段数を
10段から9段に改造
インペラ段数を
11段から10段に改造
 年間消費電力量
  削減効果
   
374,237kWh ※1522,926kWh ※2
年間電力料金
削減効果※3
4,898千円7,843千円

                     ※1 年間想定運転時間:3500h、大給水量側にて評価
                     ※2 年間想定運転時間:4380h          
                     ※3 電力単価15円と仮定し算出           

工場持込整備と省エネ

 今回のように工場持込整備のタイミングで段抜きを実施することで、部品の交換と改造による省エネだけでなく、安全性も同時に提供することができます。ポンプ専業メーカーだからこそできる精密点検の2つのポイントをご紹介します。

イラ給水ポンプの段抜きイメージ

Point1. 専用の機械で正確に効率よく整備

ウェットブラストによるスケールの除去
ボイラ給水ポンプは運転する上でスケールが付着し、性能が低下することがあります。現地では専用の機械が無いため完全除去が難しいですが、工場整備ではウェットブラストによるスケールの完全除去を行うことができます。
ダイナミックバランサによる回転体のバランス調整
スケール完全除去および段抜き後の回転体でダイナミックバランサによるバランス修正を行うことができます。

Point2.性能試験実施

ポンプ搬入後、段抜きを行う前と後にそれぞれ性能試験を実施し比較することで、省エネ効果を実感いただけます。JIS規格に基づいた性能試験を実施し、健全性を確認したうえでご返却します。

段抜き実施前後の性能試験結果イメージ

「持続可能な社会の構築」にむけて

 日本製紙グループでは現在、2050年のカーボンニュートラル実現をめざして新たな挑戦を続けておられます。そのなかで、温室効果ガス排出量の削減についても、2021年に定められた2030年度の目標値「45%削減(2013年度比)」を、昨年5月に「54%削減」へ上方修正されるなど、省エネなどを強力に推し進めています。
 富士工場でも今後さらなる省エネ推進のため、ポンプでは別号機での段抜き改造や、別機種での省エネを現在検討いただいています。ポンプ以外でも送風機や冷却塔のファンへのインバータ導入を検討されており、設備の省エネ化に力を注いでいます。また、吉永の10号ボイラ、富士の3号ボイラでは木屑やRPF、廃タイヤなどのバイオマス燃料や廃棄物燃料を積極的に使用することで、化石燃料の使用量を削減しています。
 このような地球温暖化や資源枯渇の防止に貢献する取り組みを通して「持続可能な社会の実現」にお力添えできるよう、トリシマは今後もポンプの省エネとアフターサービスを磨いていきます。

富士工場(富士)ボイラ給水ポンプ

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