お客様の声 エコポンプニュース Vol.94段抜き・インペラカットで消費電力約30kW削減
苫小牧バイオマス発電株式会社
省エネカーボンニュートラルCO2削減電⼒ダウンサイズ(インペラカット含む)メンテナンス(REDU含む)

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※2023年8月時点の原稿です

 近年、脱炭素が国際的な課題とされ、CO2削減の取り組みが各国で進められています。日本でも2050年カーボンニュートラルの実現に向け、CO2削減への有効な手段として期待される再生可能エネルギーを用いた発電の普及を推し進めています。なかでも、バイオマス発電は、天候に影響されやすい太陽光・風力発電に比べ、燃料となる木を調達できれば安定した発電量を確保できるという特徴から、注目を集めており、全国各地で発電所が建設されています。
 とくに北海道では、広大な土地により資材が確保でき、発電所の運営に適した立地条件が整っているなどの理由から、バイオマス発電が盛んになっています。

バイオマス発電所全体での省エネ

 今回お伺いした苫小牧バイオマス発電所は、2017年4月に営業運転を開始し、約6MWの発電出力を有しています。「地産地消の発電所」として知られ、木質バイオマス発電所としては先駆けで、北海道内の未利用木材(林業などで生じた間伐材)のみで発電を行っています。本発電所では計10台以上のトリシマ製ポンプが採用されており、主要機器の一つであるボイラ給水ポンプにも、トリシマ製の高圧多段ポンプが採用されています。

ボイラ給水ポンプ(MHD65/14F)

 また、以前より動力削減に取り組まれており、モータ駆動を蒸気タービン駆動へ変更することにより、実質運転時電力をゼロにする計画がありました。しかしイニシャルコストが高額になるため、ポンプによる省エネをご提案させていただきました。計4機種に対して段抜きやインペラカットを実施しました。

 なかでもボイラ給水ポンプはポンプ能力に対して絞った仕様で運転されていました。今回、段抜き改造として2枚のインペラを抜き取り、ポンプ能力を現状の運転仕様に近づけて最適化することで、16kWの消費電力削減を実現できました。年間の消費電力量に換算すると、16kW×8,184h(24時間341日運転)=約13万kWもの電力コストダウンにつながります。

多段ポンプの省エネ

 インペラを複数段重ねた多段ポンプは、インペラカットや段抜きを施すことで仕様の最適化が図れます。インペラカットも段抜きも現状の運転点に近づける省エネ方法ですが、インペラカットは細やかな対応が可能で、段抜きはインペラを抜き取るので大幅な消費電力削減が見込めます。また、部品(インペラ、ガイドベーン)の抜取りのみなので、部品を再度組み込むことで元の性能に戻すことも可能のため、発電容量や生産能力に合わせて性能を変化させることができます。この結果に関して、本発電所で機器のメンテナンス管理を行っておられる境発電部長は、

「目標を超える大きな効果があり、また、発電所内の動力も明らかに下がっていることも確認できました。投資回収年数(工事の分だけでの投資回収費用)が1年以内にでき、満足しています。」

とのお声をいただきました。

インペラカットした缶水循環ポンプ(CHR150-404)

 また、トリシマは今回、バイオマス発電所の中で重要度の高いボイラ給水ポンプや缶水循環ポンプを含む4機種のポンプ、それぞれに合った省エネ手法を提案しました。それぞれのポンプを最適化することで、2017年から2021年までに約30kW(約940→910kW)もの消費電力の削減を実現しました。
 本発電所は「地産地消の発電所」として、地域貢献や環境保護にも取り組んでいます。燃料となる木材は今まで利用価値が低かった未利用材が主で、その伐採・集荷・搬送は地域林業の活性化「持続可能な山の経営」につながります。また、間伐材である未利用材を使用することで森林全体のCO2吸収能力が増加するといった環境保護にもつながります。
 このように木質バイオマス発電は、発電所の直接的な事業だけでなく林業や運送などにも関わる広い事業を通して持続可能な山の経営に貢献しています。
 トリシマにおいても、2029年度までに工場・オフィスで使用するエネルギー削減のみならず、製品によってもカーボンニュートラル達成をめざしています。カーボンニュートラルに取り組むパートナーとして、さらにお役に立てるようトリシマも貢献していきます。

境発電部長
段抜きによる省エネ手法イメージ

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