お客様の声 エコポンプニュース Vol.77軸封部の改造で「ノーメンテ」を実現
~エコクリーンセンター(ごみ処理施設)での事例~
メンテナンス(REDU含む)メカニカルシールその他業種

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※2018年12月現在の原稿です

島根県の浜田市と江津市併せておよそ8万人の可燃ごみを処理している浜田地区広域行政組合エコクリーンセンター、2006年11月末に完成、JFEエンジニアリング株式会社が設計・建設し、運転保守管理も行っています。ごみ処理と言えば焼却場をイメージしますが、ここでは溶融(溶かす)処理しています。計画された当時、ごみを燃やした後に残る灰を処分する最終処分場の減少が問題となっていました。そのため、捨てる灰が少なくアスファルトやコンクリート製品などの土木資材としてスラグを有効活用できる溶融処理型の施設として建設されました。さらに、炉内を高温に維持するためダイオキシンの発生も少なくなっています。

施設規模としてはガス化直接溶融炉49トン/日が2炉あり、1日に計98トンのごみを溶かすことができます。

「日本人一人当たりのごみの量は1日だいたい1キロ弱。この地域では8万人×1キロ=80トンが発生し、そのうちの可燃ごみ63トンをここで毎日処理しています」

▲エコクリーンセンター
▲自然に囲まれたエコクリーンセンターに常駐する
JFEエンジニアリング株式会社の的場所長。
クリーンセンター内部も案内していただきました。

と親切にエコクリーンセンターを紹介してくださったのは、JFEエンジニアリング株式会社PPP事業部 運営管理部 第一運営室 西日本運営グループの的場所長。溶融によって発生する熱エネルギーを再利用して発電を行う出力1,800kWの蒸気タービン発電機もあり、効率的な施設となっています。エコクリーンセンター設立当初、他社製の減温水噴霧ポンプのグランドパッキンからの漏れが激しく、

「しょっちゅうパッキンを絞め、半年に1回はパッキンを換え、スリーブはパッキンによる傷がつき1年に1回は換えていました」。

メンテナンスには手間と時間がかかります。さらに、部品の交換には費用がかかります。

「なんとか見よう見まねで交換していましたが、スリーブの交換には2~3日かかっていました」。

そんな中、既設のトリシマ製ボイラ給水ポンプのメンテナンスに来ていたトリシマのサービスマンが、減温水噴霧ポンプのメンテナンスも一緒に行うことになりました。その際に、トリシマが減温水噴霧ポンプをトリシマのメカニカルシール式ポンプに更新することで、既設のグランドパッキン式に比べ、時間と手間さらには費用を最小限にする提案を行いました。

▲グランド漏れ過多

トリシマ製メカニカルシール

トリシマ製ポンプは、軸封装置にメカニカルシールを標準装備しています。グランドパッキンは漏れ量を調整する増締が定期的に必要ですが、メカニカルシールは メンテナンスをほとんどする必要が なく、軸封部からの漏水は極小なため、ポンプ周辺の環境をクリーンに保てます。また、エコポンプに装備する標準のメカニカルシール(ゴムベローズメカニカルシール)は、取り付けが簡単で、シャフトを傷つけない構造のため、シャフトスリーブが不要です。  実はトリシマはポンプの総合メーカとして、半世紀前、国内でもいち早くメカニカルシールの重要性に着目し、メカニカルシールの研究開発から製造、商品化に取り組んできたという歴史があります。現在では、極めて高い品質と安全性が要求されるメカニカルシールに幅広く対応しています。そのため、万が一、軸封部に漏水があった場合でも、ポンプと軸封部、両方の責任を一手に引き受けられるというポンプメーカならではのメンテナンスサービスを提供できるのです。

ポンプ更新後

減温水噴霧ポンプとは、ガス温度を下げる減温塔に減温水を噴霧するポンプで、クリーンセンターの中では最も汚れた排水が流れます。今までポンプに流れる多種多様な液質を扱ってきたノウハウがつまったトリシマのメカニカルシールは、更新後5年経ってもメカ漏れもなく順調に稼働しています。更新する前は、

「グランドパッキンは安いけどメカニカルシールは高いから同じように漏れ出したら交換の費用がもっとかかるんじゃないかなという一抹の不安はありました」。

ところが、グランドパッキン式のときは、パッキンスリーブなどの交換が定期的に必要でしたが、メカニカルシール式へ変更したことにより、手がかからなくなりメンテナンス費用をおさえることができました。

燃料を燃やすために酸素濃度の高い空気を送る管を冷却する主羽口冷却水ポンプ、タービンやボイラなどの機器を冷却する冷却水ポンプも次々とエコポンプに更新する運びとなり、「結果的にすべてトリシマのメカニカルシール式ポンプに換わって、ほとんど、ぜんぜん、何もやっていない。ノーメンテになった」とおっしゃっていただけました。  また、

「エコポンプを省エネのシンボルにすることができました」。

エコクリーンセンターの今後の課題

利点も多い溶融炉ですが、溶融するには焼却する以上のエネルギーが必要なので、省エネが課題となっています。

「そのために、炉の操業技術を向上し効率化を図る、不要な照明の消灯運動、蛍光灯照明のLED化、白煙防止設備など不要機器の運転停止などを推進しています。そのうちの一つ、機器の高効率化の一環として、トリシマ製エコポンプを導入しました。正直いってどれだけ省エネになったかわかりませんが、省エネのシンボルとしてモチベーションを高める効果はありました」

とのことです。年間エネルギー使用量はエコクリーンセンター設立当初と比べると原油換算で1,000kℓも削減することができているそうで、たいへん努力されていることが明白です。今後さらなる省エネに向けて

「なかなか削減の余地がない」

とのことでしたので、トリシマのエコポンプでも微力ながらお手伝いできるよう、また、メンテナンスサービス体制にこれからも満足していただけるよう、今後も取り組んでいきたいと思います。

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