お客様の声 エコポンプニュース Vol.62インバータに頼らず消費電力量61.5%削減!
~日本特殊陶業株式会社 鹿児島宮之城工場での省エネ事例~
ダウンサイズ(インペラカット含む)インバータ⾼効率化機械‧電気

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※2016年6月現在の原稿です

スパークプラグの一貫生産工場
広大な敷地には、なんと天然温泉も!

今回お邪魔したのは、1936年創業、自動車のスパークプラグで確固たる地位を築いた日本特殊陶業株式会社の鹿児島宮之城工場。スパークプラグとは、エンジンなどの内燃機関などにおいて、ガソリンと空気の混合気に電気的に点火する「ライター」の役割を果たすもので、表からは見えない小さなパーツですが、これがなければ機械が動かず、エンジンの心臓部とも言える重要な部品です。

ここ宮之城工場は、自動車用をはじめ、オートバイ用や船舶用など、そのスパークプラグの一貫生産工場として1974年に設立。以来、成長とともに拡張を重ね、今では東京ドーム約5個分の敷地を誇ります。そしてこの工場がユニークなのはなんと、敷地内に天然温泉が湧いていること! 従業員はもちろん、工場を訪れたお客様も自由に入れるそうで、高台にある露天風呂からは、風光明媚な大パノラマが広がります。こんな贅沢な福利厚生、いくら温泉地とはいえ、そうそうありません。

インバータはつけたままポンプ効率アップで20%の省エネに

そんな宮之城工場は、工場設備が大きいだけに省エネへの意識も高く、事務所の壁には、瞬時の消費電力量を示す電光表示板が。CO2 排出量の削減目標は、各工場ごとに割り当てられており、宮之城工場では1%とのことです。

「そうは言っても、なかなか難しいですよね。省エネのネタ探しに、いろんな情報収集をしていました。そんなとき設備工事業者の方から、トリシマのエコポンプを紹介されて、ちょうどポンプ設備全体の見直しをしていたところだったので、どれかでやってみようという話になったんです」。

▲工務部 宮之城施設課 営繕チーム 黒木主任

柔らかな物腰でそう話してくれるのは、工務部 宮之城施設課 営繕チームの黒木主任。まずは、インバータで運転制御をしていた冷却水ポンプで試してみることに。
インバータで運転制御しているポンプでも、効率の良いところで運転しているとは限りません。そこで、より抜本的な省エネ手法として、トリシマのエコポンプは一品一品羽車の径を削ってお客様の仕様点に調整する「インペラカット」を標準で行って出荷しています。これなら、インバータで運転制御しているポンプでも、エコポンプに更新することで現状の運転周波数より下げることができるため、大きな省エネとなります。ただ、

「インペラカットなんて聞いたことがなかったし、いきなりポンプ能力を変えるのは、やっぱりちょっと不安で」

ということで、まずはインバータはつけたまま、能力もそのままで交換しました。

結果、それでも20%程度の省エネに。エコポンプはインペラカットだけでなく、羽根の形状やケーシング内部も最新の流体技術を駆使してスムーズに水が流れる高効率設計になっているため、ポンプそのものの効率も高く、その効果の表れです。そして、交換後も何の問題もなく動いていることから、エコポンプに対する安心感と信頼をいただけました。

インバータなしでモータ容量11kW→3.7kW
消費電力量61.5%削減!

そしてその後、再びポンプ設備の見直しにあたり、高圧コンプレッサー用冷却水ポンプの容量を落とせないかと考えていた黒木主任、

「実は別のところからインバータの提案があったんです。でも、インバータ本体で数%のロスが出ますし、設置費用や管理費もかかる。それに、一番怖いのは故障です。インバータがなくても省エネできるなら、それはそっちのほうがいい ですよね」

ということで、設備工事業者と一緒に仕様の見直しをされました。まずは既存ポンプの運転状況を精査し、そのデータをさら に細かく分析。エコポンプに取り換えることで、年間消費電力量をいくら削減できるか試算すると、64.5% との見通しが出ました。更新後の実測値も試算とほぼ変わりなく、モータ容量は11kW から3.7kW、年間消費電力量は61.5%削減することができました。

「容量を落とすというのは、正直やっぱりすごく不安でしたね。もし必要な量が出なかったら運転がストップしてしまう。そんな恐れもあって、はじめの設計が大きめになっていたところはあります」。

もちろんそう思われるのは、黒木主任だけではありません。とくに 新規設備を設計するときは、「大は小を兼ねる」の観点から余裕を持った設計になっているケースはとても多くあります。だからこそ、吐出し量や揚程など必要な仕様点の確実性、安定性はしっかり確保しながら、高い技術力と緻密な省エネ診断で抜本的な省エネをしていく。それが、私たち、ポンプのプロとしての責任と使命だと考えてい ます。

今後もできるものからエコポンプに

その後、エコポンプでの省エネに、より関心を持ってくれた黒木主任。省エネルギーセンター主催のトリシマ九州工場で行っている「ポンプde エコ」の省エネ講習会にも1泊2日で参加してくださいました。

「それまでもポンプの点検はしていましたが、内部の構造までは見たことなかったので、大変勉強になりました」。

2016年5月現在で、合計10 台のエコポンプを導入。先に触れた高圧コンプレッサーでは、3 台のコンプレッサーに冷却水ポンプがそれぞれ2 台ずつ設置してあり、それぞれ1 台ずつはエコポンプに交換したのですが、まだ半分は既存のまま。

「エコポンプのときはいいのですが、既設ポンプを動かしているときは、もったいなくて。残り3台もエコポンプに交換する予定です。ほかにも今後、更新を迎えたものに関してはエコポンプにしていきたいですね」。

ポンプの省エネといえばインバータがよく知られていますが、実は、こうして丁寧に仕様を見直すことで抜本的な省エネが可能です。省エネはもうやり尽くした、という方も、ぜひ一度、ご検討されてみてはいかがでしょう。

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