※2012年5月時点の原稿です
「ポンプdeエコ」活動増加
ポンプの消費電力は産業分野で消費される電力のうち約25%と意外に多く、無視できない割合を占めている。最近では、ポンプで省エネを検討される方が増えており、当社に問い合わせ頂く内容にも変化が起きている。 以前は「ポンプ更新」や「ポンプの技術内容」の問い合わせが多かったが、当社とのお取引が今までなかったお客様からも、
「トリシマから省エネできるポンプが販売されていると聞いたので教えて欲しい」
「ポンプで省エネする方法を教えて欲しい」
「省エネ提案を行って欲しい」
など、ポンプによる省エネ活動に関する問い合わせが増加している。
また、ポンプで省エネを実施する件数も増加しており、化学業界では約1.7倍、機械業界では約2.7倍になり、省エネ効果の高いエコポンプの販売台数は、前年度比約1.5倍になった。

エコポンプde省エネ
ポンプを設置する際、ポンプのイニシャルコストやメンテナンス費用を考慮するお客様は多いが、ランニングコストである電力費までを考えるお客様は少ない。ポンプはエネルギーを大量に消費する機器である。ポンプを15年間稼働させた場合のライフサイクルコストの内訳は、電力費が最も多く各口径毎に平均すると90%以上を占めている 。
ポンプによる一番簡単な消費電力の削減(省エネ対策)は、機器の高効率化である。ポンプの仕様を変更できない場合、効率の良いポンプを選定するだけでも消費電力は削減可能である。 今までのエコポンプニュースで紹介してきた通りエコポンプとTUモータは効率が高い。そのためエコポンプとTUモータは、機器の高効率化による省エネを実施するのに適した製品である。
エコポンプ販売開始時は、機器の高効率化による省エネのために、インペラが一段(単段)の汎用ポンプをエコポンプへ取替えるお客様が多かった。最近では、当社のエコアドバイザーと共にポンプ仕様の見直しや設備に合ったポンプ選定により機器の高効率化だけでは得られない、より大きな省エネ効果を希望するお客様が増加している。
また、インペラが複数段(多段)のポンプを単段のエコポンプに変更することによる省エネ化や、それとは逆に単段ポンプを多段ポンプへ変更することによる省エネ化も増加している。
多段ポンプの省エネ手法
インペラを複数段重ねた多段ポンプの省エネ化を行う時、仕様が以前より小さくなった場合はインペラカットを行う。 また、大幅に全揚程を小さくしたい場合は、複数段あるインペラを抜き取る『段抜き』という手法を用いることにより、ポンプの仕様を設備要求仕様点に合わせ省エネ化を実施することがある。
当社の製品には高温・高圧に耐えることが可能なボイラー用のハイテクポンプがある。 多段のボイラー用ポンプでは、お客様の要望時や定期検査時等にポンプの省エネ提案を実施しており、多段ポンプに対しての省エネ化に多数の実績がある。
単段と多段の適切な選定
設備やポンプ仕様によっては、多段ポンプではなく単段ポンプで十分対応でき、更には省エネに繋がるケースもある。
設置当時に担当していた方が2P仕様のポンプに懸念を抱いていた場合、4P仕様では単段ポンプが選定できない時に、多段の4P仕様を設置していることがある。
エコポンプは2P仕様でもお客様に安心して使用頂けるよう設計を行っている。単段ポンプで十分対応できる場合は、多段ポンプを高効率のエコポンプ(単段ポンプ)にする省エネ提案を行っている。 単段ポンプに取替えることで、省エネだけではなく、メンテナンス性の向上にも繋がりご評価を頂いている。上記とは、逆に単段ポンプを多段ポンプへ変更することで省エネになる場合もある。無駄を取り除きポンプ能力が最も発揮されるよう、ポンプ効率が高い点で使用することが省エネのポイントである(下図)。
多段ポンプを(単段)エコポンプへ
某機械メーカでは、工程へ冷却水を送る送水ポンプにインペラ二段の多段ポンプを設置していた。そこで、多段ポンプを単段のエコポンプへ取替えて省エネ化を行った。
取替前後でのポンプの仕様、年間運転時間(4,260時間=24時間×6ヶ月)は同一であるが、消費電力は16.1%削減、年間CO2は2.9トン削減できる効果となった。
某医薬品メーカでは、給水用のポンプにインペラ3段の多段ポンプを設置していた。既設ポンプの現地測定および持ち帰り試験を行い運転点を明確にした後、運転点での仕様に合わせた単段のエコポンプを提案した。その結果、年間運転時間8,760時間(24時間×365日)にて、消費電力量は15.4%、年間CO2は4.0トンの削減効果となった。
単段ポンプを多段ポンプへ
某化学メーカでは、ボイラー用の給水ポンプに単段ポンプを設置していた。
ポンプの運転点は、吐出し量が約0.2m3/min、全揚程が174mの小流量、高揚程であり、更には設置されているポンプに対して効率の悪い点であった。
ポンプの場合、ポンプの特性上同じポンプであっても吐出し量によってポンプの効率値が異なる。
ポンプの運転点で効率の高い多段ポンプへ取替提案を行ったところ、消費電力は55.1%、年間CO2は63.3トンの削減効果となった。
年間での需要電力は夏がピークです。電力不足が叫ばれる中、「全ポンプde省エネ」することで節電を実施しませんか?
