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酉島製作所 採用特設サイト トリシマポンプ
「変える」を当たり前にする働き方改革プロジェクト
青木マミ
大学 商学部卒業/2012年入社
人事部 働き方改革推進チーム

*職務および原稿は、2020年2月現在のものです。

寝耳に水の異動で、安定から改革へ

「10年後には、今人間がやっている仕事の約半分がなくなる」。2014年、オックスフォード大学が発表した衝撃的な論文を皮切りに、世界中で同じような記事が誌面やインターネットを賑わしている。その現実味の程度はさておき、今、AIやIoTの進化とともに、世界がかつてないほどの変化を経験しているのは事実だ。とくに日本では、少子高齢化により生産年齢人口が減少するのは明らかで、抜本的な改革を図るべく国を挙げての「働き方改革」が本格的に始動した。私たちは、本当に変われるのか。いま、日本が、企業が試されている。

「一番変わったのは私かもしれません」。

トリシマの働き方改革推進チームに所属する青木は、この2年近くの日々をそう振り返る。もともと、子どもの頃は漫画家になりたかったが、安定志向の両親の影響で「手堅い仕事につけそう」な商学部に進んだ。そのまま「BtoBで安定企業」のトリシマに入り、希望通り経理部に配属。「決算期は忙しいけど、基本ルーティンワーク」という毎日を過ごしながら、あっという間に6年が過ぎようとしていた頃、自分には関係ないと思っていた異動の発表を見て目を疑った。「新設 人事部 働き方改革推進チーム 青木マミ」。

「一瞬、意味が分かりませんでした。働き方改革推進チームってなに? って感じで(笑)」。会社では、「トリシマを本気で変える」ため、前年から準備が始まっていた。そして2018年4月、正式に「働き方改革推進チーム」を発足。青木は「クリエイティブな仕事が出来る人材」との期待から専属メンバーに投入された。当の本人にとっては寝耳に水だが、まだこのときは「何とかなるか」と楽観的にかまえていた。上司は、情報システム室から異動してくる課長。この冨田が、青木の仕事観を大きく変えることになる。

控えめな彼女が、感情をさらけ出して号泣

トリシマにおける働き方改革のテーマは、「業務改革」「制度改革」「意識改革」の三本柱。今までこうしてきたから。上司に言われたから。何も考えずにやっていた仕事を根本から見直し、非効率的な単純作業は、「なくす」「減らす」「変える」。新たに創出した時間で本業に集中し、より付加価値の高い仕事をする。顧客満足度アップ、売上アップ、給料アップ、モチベーションアップ。そんな「わくわくスパイラル」を実現するのが目標だ。

まずは、RPA化による作業時間の削減が図られた。青木はさっそく経理の経験を活かし、経費の増減分析のRPA化を提案。ところが―。
「なぜここを変えるのか、そもそもなぜ増減分析が必要なのか、課長に聞かれても答えられなくて。6年間やっていた仕事なのに、深く考えていませんでした。今まで何をやっていたんだろう、って自分が情けなくなりました」。

経理部は部長以下20名近く、青木は一部員として、ごく一部の仕事を指示通りやっていればよかった。しかし、専属メンバー3名、「『変える』を求められる」今のチームでは、自分で考え、新しいことを企画し、さらにそれを経営層に認めてもらう必要がある。できない。分からない。冨田からは厳しい言葉が飛んでくる。ダメだ。自分には無理。もう辞めるしかない。真っすぐで責任感の強い青木は自分を責め、ある日ついに、冨田の前で号泣した。

冨田は決して、「できないこと」を叱っていたのではない。「できないできないと言うのではなく、とことん考えてごらん」と伝えていたのだ。女性だからという甘やかしはなかった。が、普段は控えめでおっとりしている青木が、感情をさらけ出して不安をぶつけてくる。少し厳しすぎたか。冨田は黙ってすべての言葉を受けとめた。「自分でもびっくりしました。あまり言えない性格なので。でも、吐きだしたらすっきりして(笑)」。吹っ切れた青木は、そこから少しずつ変わっていった。冨田のいう通り、とことん考えれば、いろんな改善点が見えてきた。BS/PL*出力作業の自動化、交際費の集計、来客予約状況の共有化など、経理案件以外でもさまざまな業務を変えていった。

*決算書類の中でも重要なもの。BS貸借対照表(Balance Sheet)、PL損益計算書(Profit and Loss Statement)

得意の漫画で、みんなの意識を変える

漫画家になりたかった青木の特技は、今でも漫画を描くこと。トリシマの公式マスコット“トリポン”を青木流にアレンジしたイラストは社内でも人気で、自ら「“売り込み”して描くようになった」社内報の四コマ漫画もすっかり定着している。働き方改革の仕事をどうやって社内に知らせようかと考えていた冨田は、この青木の漫画を使うことを思いついた。そのほうが興味をもってもらえるし、なにより青木自身楽しく、自信にもなるはずだ。
「大変かも、とも思いましたが、面白そう! という気持ちが勝ちました。ネーム*を考えるのは多少苦労しましたが、楽しくて一気に描き上げました」。

「わくわくワーク通信」と題された第一号は、2018年9月に発行。書類の削減、時差出勤、新社屋建設に向けたパイロットオフィスなど、毎月トピックを決めて、何をしているのか、なぜその必要があるのか、新キャラクターの博士とトリポンのコミカルな掛け合いを通して分かりやすく伝える。冨田に相談はするが、トピックを考えるのも、ストーリーを練るのもすべて自分だ。最初は「働き方改革って、何やってるの?」と新設チームの必要性を訝しがる目もあったが、「漫画だと分かりやすい」「毎回楽しみにしている」という声も増え、徐々に「会社が変わっていってる」という空気が広がっていく。2019年4月号を出す頃には、青木の目の色も変わっていた。

*漫画のコマ割り、コマごとの構図、セリフ、キャラクターの配置などを大まかに表したもの。

「働き方改革」も社員におなじみのトリポンで表現することで、分かりやすく浸透。

2021年、トリシマの「働く空間」が激変する

働き方改革の大きな目玉の一つが、「新本社工場ビル」の建設だ。1階から2階は工場、3階から6階のオフィスはスキップフロアでつなげ、「一体感」をつくる。職場によってはフリーアドレスを導入、人の動きや情報をオープンにし、コミュニケーションを活性化させる。2021年春の完成を目指して、いよいよ本格的に動き出した。

「新社屋の建設なんて、一生に一度経験できるかどうか。しかも自分たちが主体となって進められるなんてすごく貴重です。新しいものをつくる、切り拓くという仕事はとても楽しい」

青木らが進める「新本社工場ビル 新設プロジェクト」完成イメージビデオ

2年前の青木からは、想像もつかない言葉も自然に出る。各部署の要望を聞きつつ、より効果的な働き方ができるよう検討。設計会社とのミーティングでは、他部署も入りショールームの計画も始まった。以前は、経理部以外の人と関わることはほとんどなかったが、今は全部署が相手だ。しかも社長や取締役、本部長などマネージメント層との会議に参加することも多く、刺激を受ける。
「今は仕事が楽しくてたまらない。全然できなかった私を、厳しくもあたたかく、辛抱強く鍛えてくれた課長のおかげです。最初はものすごく怖かったけど、今は、上司として人として、心から尊敬、感謝しています」。

「みんなが主役になれるような、感性を刺激するようなオフィスをつくりたい」。

まだ役職についていない社員でも、こんな想いを実現できる環境がトリシマにはある。「安定しているから」と入った会社は、今の青木にとって、夢を叶える舞台となっている。

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