エコポンプニュース Vol.71

ボイラ給水ポンプのメカニカルシール化
バイオマス発電所でのボイラ給水や循環水、原水、補機冷却水で
使用されるポンプの見直し事例

ミツウロコ岩国発電所▲左からミツウロコ岩国発電所の設備保全課主任の水本様と石田様、
所長の濱田様、設備保全課長の齊藤様

国土のおよそ7割を森林が占める日本。私たちの暮らしに豊かな恵みをもたらす森林を守るためには、樹木の生育を助ける間伐などの手入れが欠かせません。ミツウロコ岩国発電所は、その間伐材をはじめ、建設廃材などの木質チップのみを燃焼して発電する、2006年に運転を開始したわが国初の木質バイオマス専焼発電所。発電量は1万kWとなり、単純に各家庭に換算するとおよそ1万世帯分にも及びます。

運転開始当時より、ミツウロコ岩国発電所を陰で支えているのはトリシマのポンプたち。特に燃料(木質チップ)を燃やし蒸気を生成するボイラに熱水を供給するボイラ給水ポンプは、発電所の心臓部と呼ばれたりもする発電設備の重要機器と位置づけられています。ところが、長年、軸封部からボイラ水が漏れ、パッキンスリーブが摩耗するという現象が発生し、部品取替えの手間と安全性が問題となっていました。これら問題解決に取り組まれ、日夜、発電所の設備保全を担っている濱田所長をはじめ4名の方にお話を伺いました。

発電所が建設されポンプが設置された当初は、イニシャルコストが安いグランドパッキン式が採用されました。昔はグランドパッキンの素材として耐久性、耐熱性などに優れたアスベストが使われているものが多かったのですが、今ではアスベストの製造は中止されています。ノンアスベストのグランドパッキンでは、パッキンスリーブが摩耗し、ボイラ水が漏れるという現象が発生。ボイラ水が漏れるとポンプを止めて増し締めをするのですが、1か月に1回はグランドパッキンを取替えなければならなくなり

ボイラ給水ポンプ(多段高圧ポンプ)▲ボイラ給水ポンプである多段高圧ポンプ

「漏れれば絞める、絞めれば摩耗するで処置ができない」

と手間になっていたそうです。それ以上に、ボイラ水はおよそ150度もの高温になるため十分に冷え切らないと作業中に火傷をする可能性もあり危険を伴います。漏れると蒸気となって噴き出す危険性もあり、軸受の焼き付き、モータ故障などにつながるリスクもはらんでいました。

それを聞いたトリシマはメカニカルシール式への改造をご提案。たまたま2年に1回、電気事業法に基づく「安全管理審査」を実施する時期が来たということもあり、2013年の点検整備の際にボイラ給水ポンプ1号機をトリシマに持ち帰りオーバーホールを行い、グランドパッキン式をメカニカルシール式に改造しました。メカニカルシール式に改造してから現在に至るまで

「水漏れは一度も起こっていません。
結果的に安定的な稼働で管理しやすく信頼性が向上しました」

メカニカルシール※メカニカルシールの水漏れ:メカニカルシールは漏れを
完全に止める装置ではなく、極微量な漏れがありますが、
大気側では蒸気程度のため目視では見えません。

と水本様。実際にポンプ周辺はポンプが運転しているのがわからないぐらいきれいです。ボイラ給水ポンプ1号機をメカニカルシール式に改造して1年後には2号機もグランドパッキン式からメカニカルシール式に改造するに至り、その際は岩国発電所内で改造工事を行いました。

今回メカニカルシール式に改造するにあたっての懸念点は「コスト」だったとのこと。プラント建設の際は

「イニシャルコストを優先しグランドパッキンが採用されたけど、(運転管理の立場としては)ランニングコストを落としたいし、(運転管理に)手間をかけたくない。ライフサイクルコストや安全性を考えると初めからメカニカルシールにすべきだったんだろうと思います」

と打ち明けてくださいました。投資回収は半分終わったそうですが、コストをかけてもメカニカルシール式を採用する意味は、何よりも「安心に勝るものはない」というところにあります。



ボイラ給水ポンプと予備のシール

また、グランドパッキンの場合は廃棄処分しかできませんが、メカニカルシールはその端面が摩耗した場合はラッピング(表面仕上げ)などをすることで再利用できることもメリットです。つまり、Reduce(リデュース:ごみの削減)、Reuse(リユース:再使用)、Recycle(リサイクル:資源として再利用)の3Rに優れており、まさに省エネな機械と言えるのではないでしょうか。今回のボイラ給水用ポンプ2台においては次回オーバーホールの際に速やかに取替えられるように、もうひとつメカニカルシールを予備として準備しています。次回のオーバーホール時は、予備のメカニカルシールに取替え、今ついているメカニカルシールはメンテナンスに出し、次のオーバーホール用に保管します。

循環水ポンプのインペラカットで省エネ

ミツウロコ岩国発電所では循環水ポンプのインペラをカットすることで省エネも実現しています。循環水ポンプについては

循環水ポンプである横軸両吸込みポンプ▲循環水ポンプである横軸両吸込みポンプ

「バルブを常時50%閉めていたので、流量が多いことがわかっていました」。

電気技術士でもありエネルギー管理士でもある齊藤様は技術資料をご自身で作成しつつ、実際に流量を測るには測定器が必要なため、そこはトリシマがお手伝い。そしてインペラカットをした場合にどれだけ省エネになるかビフォー・アフターを提案しました。

インペラカットにより万が一、規定流量が出なくなると冷却できなくなるというリスクを避け、また突発的な変動があるかもしれないので、全揚程に2割の余裕を確保できるようインペラをカットしました。流量やポンプ入口と出口の圧力、モータの電流値を測定し検証したところ、ご提案とおりの省エネを実現。バルブを絞る必要がなくなった分、売電できる電力量の増加につなげることができました。

原水ポンプ、補機冷却水ポンプをエコポンプに更新

補機冷却水ポンプであるエコポンプ▲補機冷却水ポンプであるエコポンプ

さらに、納入後8年を経た原水ポンプと補機冷却水ポンプをエコポンプに更新したことでも省エネを実現しています。更新した理由は

「ポンプのメンテナンス時期に消耗品の取替えやその作業費用と、(ポンプそのものを)買った場合の費用を検討したところ、同じくらいだった」

とのことでした。それに

「更新するならメカニカルシールで」

という思いがあり、メカニカルシール式が標準装備の高効率エコポンプに更新することになりました。

「確実に電流値も下がった」

とのことです。

循環型社会の構築につながる再生可能エネルギーによる発電の発展のため、着々と「省エネ」そして「安心・安全な管理運用」を進めるミツウロコ岩国発電所の皆さま。トリシマはお客様の課題解決にこれからも一緒に取り組んでいきます。

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